作業者が最初にぶつかるトラブルの多くは、スプロケットを回す方向の勘違いに起因しています。スポーツ自転車のロックリングは通常の正ネジ構造(右ネジ)のため、緩める際は反時計回り(左回り)に回すのが正解です。しかし、作業時にホイールを裏返したり覗き込んだりしているうちに位置関係を見失い、無意識に締め付け方向へ渾身の力をかけてしまっているケースが驚くほど多く見られます。
もう一つの決定的な要因は、ペダリングの踏力による噛み込みと経年による固着です。走行中、チェーンからの強大なトルクが常にスプロケットにかかり続けているため、ネジ山同士が強く圧着されます。特に雨天走行後に砂塵や水分が入り込んで微細な錆が発生している場合、ロックリング外しが異様に固い状態に陥ります。フリーホイールリムーバーを差し込んでもびくともしない場合は、無理に腕力だけで解決しようとせず、一度浸透潤滑剤を吹いて数分置くなどの初期対応が不可欠です。