広島と長崎の被爆は、同じ「原子爆弾投下」という惨劇でありながら、使用された核兵器の構造、核分裂物質、爆発規模、そして被災都市の地理的条件において大きな違いが存在します。米軍はマンハッタン計画において開発した2種類の異なる方式を、実際に都市を標的として実証実験を行いました。
広島に投下されたリトルボーイは細長い砲身状の形状をしており、ウラン235の塊を火薬で衝突させる「ガンバレル(砲身)方式」を採用していました。構造が比較的単純であり、実験なしで実戦投入されました。一方、長崎のファットマンは丸みを帯びた大型爆弾で、周囲に配置された火薬を一斉に内側へ起爆させてプルトニウムを中心部で瞬間的に圧縮する「インプロージョン(爆縮)方式」が採用されていました。
破壊力そのものは長崎のファットマンの方が遥かに強大でしたが、広島が平野部であったために360度全方位へ被害が拡大したのに対し、長崎は山に囲まれた谷状の地形でした。爆心地となった浦上地区は壊滅的な被害を受けたものの、東側にそびえる金比羅山などの山々が強烈な爆風と熱線を遮断し、長崎駅周辺や中島川以東の旧市街地への直接的な壊滅被害を食い止める結果となったのです。