細木数子氏の華やかなパブリックイメージを根底から覆したのが、ノンフィクション作家の溝口敦氏による徹底した調査報道です。2006年夏、『週刊現代』で連載がスタートし、後に単行本『細木数子 魔女の履歴書』(講談社)としてまとめられた一連のレポートは、テレビ局がひた隠しにしてきたタブーを白日の下に晒しました。
溝口氏の綿密な追跡取材によって明らかになったのは、細木氏と指定暴力団幹部らとの浅からぬ関係です。特に、かつて山口組系幹部との親密な交際や、小金井一家をはじめとする関東・関西の裏社会重鎮との太いパイプが存在していた事実が、当時の関係者の実名証言とともに克明に記録されました。
芸能界や興行の世界では、昭和の時代から裏社会との境界線が曖昧なグレーゾーンが存在していました。細木氏はその力学を熟知し、自身のビジネスやトラブル処理に巧妙に活用していた実態が浮き彫りとなったのです。テレビ番組で語られていた「霊感」や「人生の指南役」というキャラクターの背後には、裏社会の実力者たちとの緊密なネットワークという冷徹なリアリズムが存在していました。