少女漫画誌『ちゃお』の連載作品という出自から、一部では「小学生女子向けの可愛らしいファンシー漫画」という先入観を持たれることがあります。しかし、作品の骨格を精査すると、その認識は大きく覆されます。
例えば、1997年から展開された『少女少年』シリーズでは、主人公の男子小学生が女装して女性アイドルとしてデビューする設定を採用しました。単なるドタバタコメディに流れることなく、「演じる自分」と「本当の自分」の境界線、他者からのまなざしに縛られる苦痛といった実存的な悩みを浮き彫りにしました。
また、2012年の『ドーリィ♪カノン』では、VOCALOIDや動画配信サイトによるインディーズ音楽制作が一般化する潮流をいち早く察知し、作詞作曲を手がけるヒロインと女装男子ボーカリストによる創作の共同作業を描写。時代ごとのサブカルチャーや最新テクノロジーへの鋭敏なアンテナが、ストーリーの推進力となっていました。