お札を収めた中袋を外袋で包む工程にも、慶事と弔事を明確に区別する厳格なルールが存在します。水引を一度外し、外袋を広げて中央に中袋を置いた後、左右、上下の順に折っていきますが、決定的な違いが現れるのは「上下の折り返しを重ねる順番」です。
慶事(結婚祝い等)では「天を仰いで喜びを受け止める」という意味から、下側の折り返しを上側に被せます。これに対し、弔事(お葬式・法事)では「悲しみに頭を垂れる」「涙が下へ流れ落ちるように」という意味を込め、必ず上側の折り返しを下側に被せる(下向きにする)のが鉄則です。この折り順を誤って下側を上にしてしまうと、弔問の場で結婚祝いと同じ作法を施すという重大な非礼になります。
さらに、準備した香典袋をそのままカバンやスーツのポケットから剥き出しで取り出す行為は、現代でも深刻なマナー違反と見なされます。香典袋の角が折れたり水引が崩れたりするのを防ぐため、必ず「袱紗(ふくさ)」に包んで持参するのが大人の嗜みです。
弔事における袱紗の正しい包み方は「左開き」です。正方形の風呂敷タイプの袱紗を使う手順は以下の通りです。
- 袱紗をひし形になるように広げ、中央やや右寄りに香典袋を表(上書きが見える面)を上にして置く。
- 右側の角を取り、香典袋の上にパタンと折り込む。
- 下側の角を取り、上へ折り重ねる。
- 上側の角を取り、下へ折り重ねる。
- 最後に左側の角を右側へ折り込み、余った端を裏側へ巻き込むように整える。
取り出す際に「左側から開く」形になるのが弔事の基本です。近年主流となっている財布型の「金封袱紗」を使用する場合も、右から差し込んで左開きになるよう配置を確認してから携行することが肝要です。