ホテルセリーヌを一躍有名にしたのが、客室の壁や床に描かれていたとされる「妊婦の絵」の存在です。「妊婦の腹部に顔が描かれている」「見ると呪われる」「絵を描いた人物が謎の死を遂げた」など、ネット上では数多くの怪談が派生しました。
しかし、当時の関係者や地元住民への聞き取り、過去の報道資料を精査しても、営業中にそのような絵が飾られていた記録はありません。現在判明している事実として、この絵は閉業後に何者かが不法侵入し、悪質ないたずらとして描いたグラフィティ(落書き)です。廃墟特有の不気味さと相まって、後に訪れた探訪者によって写真がネット掲示板に投稿され、怪談としての肉付けがなされていきました。
また、「過去に妊婦が暴行されて命を落とした」「ホームレスが焼殺された」といった凄惨な事件の噂も語られますが、長野県警の事件記録や当時の地元紙(信濃毎日新聞など)に該当する凶悪事件の記録は一切存在しません。閉業したモーテルの暗い雰囲気と落書きが結びつき、ネット上で作られた典型的な現代の都市伝説であることが浮き彫りになっています。