国内最大級を誇るジュンク堂書店池袋本店は、一体なぜこれほどまでに本好きの心を掴んで離さないのでしょうか。その決定的な理由は、アルゴリズムによる「おすすめ」では決して到達できない、知の立体的な回遊体験にあります。
オンライン書店のレコメンド機能は、ユーザーが「過去に閲覧・購入した履歴」の延長線上にある商品を高精度で提示してくれます。しかし、それは裏を返せば「自分の予測可能な範囲」を出ない閉じた世界です。対して、丸善ジュンク堂書店 池袋の旗艦店である池袋本店の棚は、専門知識に精通した熟練書店員の手によって、思想・歴史・自然科学・芸術といった学術領域の文脈が重層的に構築されています。
ある棚で目的の専門書を手に取った瞬間、その隣に並ぶ関連書籍の背表紙が視界に入り、思わぬ発想の着想を得る――。行動経済学や認知心理学でいう「セレンディピティ(偶然の幸運な発見)」を極大化する空間設計が、10のフロアすべてに徹底されているのです。現場を訪れた研究者やクリエイターが「気がつくと2〜3時間が溶けていた」「手ぶらで帰るつもりが両手いっぱいに本を抱えていた」と口を揃える背景には、こうした計算された知の導線が存在します。