手足口病の経過中、最も警戒しなければならないのは、ウイルスの直接侵入による中枢神経系の合併症です。特にEV71型などが流行しているシーズンでは、まれに急性脳炎や無菌性髄膜炎、急性弛緩性麻痺といった重篤な病態を引き起こします。
保護者が把握しておくべき手足口病で病院を受診する目安、そして救急外来へ直行すべきレッドフラッグ(危険信号)を以下に示します。
【直ちに夜間救急や大病院を受診すべき危険サイン】
- 手足口病の合併症である髄膜炎の兆候:解熱剤を使っても治まらない激しい頭痛を訴える、あるいは天井を見つめて視線が合わない。
- 頻回の噴水状嘔吐:水分を取っていないにもかかわらず、胃液や胆汁を何度も激しく吐き出す。
- ミオクローヌス(強いびくつき):眠りに入りそうなときや安静時に、手足がビクッビクッと何度も激しく跳ね上がり、驚いて泣き叫ぶ。
- 中枢神経症状・意識障害:呼びかけに対する反応が極端に鈍い、ろれつが回らない、ぐったりして刺激しても起き上がらない。
- 循環不全・呼吸異常:熱があるのに手足が氷のように冷たく皮膚がまだら模様になっている、呼吸が異常に浅く速い。
こうした中枢神経系の異常は、発熱後2〜3日目に出現することが多く、対応の遅れが予後に直結します。「ただの熱のせいだろう」「機嫌が悪いだけだろう」と自己判断せず、直感的に「いつもの病気と様子が明らかに違う」と感じた親の直感は、救急現場において極めて重要なトリアージ判断材料となります。