寝屋川市内の主要幹線道路沿いで長年にわたり圧倒的な存在感を放っていた「すたみな太郎 寝屋川店」が姿を消したのは、2020年春から初夏にかけてのことでした。当時、全国を襲った新型コロナウイルス感染拡大に伴う最初の緊急事態宣言を受け、運営元である株式会社江戸一は全国の店舗網に対して一斉休業措置を断行しました。寝屋川店も当初は「一時的な休業」と掲示されていたものの、営業再開を迎えることなく、そのまま静かに完全閉店の告知がなされる結末を迎えたのです。
この決断に至った背景には、単なる一時的な客足減少にとどまらない、ビュッフェ業界特有の構造的脆弱性がありました。すたみな太郎が採用していた「客自身がトングを共有して料理を取り分けるセルフビュッフェ形式」は、感染症対策の観点から最も敬遠される業態となり、来店客数は前年比70%〜80%減という未曾有の急落を記録しました。飛沫防止パネルの設置、個別包装化、使い捨て手袋の配備など、膨大な追加オペレーションコストが発生する一方、薄利多売モデルの生命線である客回転率は致命的な打撃を受けたのです。
さらに、運営母体である株式会社江戸一の経営判断として、全国で急速に進められた閉店ラッシュの理由が寝屋川店を直撃しました。同社はグループ全体の事業存続を図るため、賃料負担の重い大型ロードサイド店舗や、設備老朽化が進んでいた拠点の一斉スクラップ&ビルドに着手。公式発表資料や公告でも示された通り、全国で数十店舗規模の撤退リストが作成され、寝屋川店はその整理対象として冷徹に選別されました。華やかなバイキングの裏側で、固定費削減と生き残りを懸けた事業再編が加速した瞬間でした。