日本のF1文化を語る上で欠かせないのが、歴史を築き上げた偉大なレジェンドたちの存在です。
モータースポーツジャーナリストの今宮純氏は、フジテレビの地上波F1中継開始時からメイン解説を務め、アイルトン・セナやアラン・プロストらの人間ドラマを詩情豊かな言葉で描き出しました。その卓越した表現力と深い洞察は「今宮節」として愛され、多くのファンをF1の虜にしました。2020年に急逝された後も、レースを「人間が織りなす極限のドラマ」として捉えるそのジャーナリズム精神は、現在の解説者たちに脈々と受け継がれています。
また、レーシングカーデザイナー・エンジニアとしての輝かしいキャリアを持つ森脇基恭氏の存在も特筆されます。ノバ・エンジニアリングで数々の名車を生み出した技術的知見から語られる「マシンのメカニズム解説」は、空力やサスペンションの構造を素人にも視覚的にイメージさせる力がありました。理路整然とした語り口と、レースを俯瞰する冷静な眼力は、日本のF1解説における「技術論」のスタンダードを確立しました。