法被を粋に着こなす上で、結び方と同じくらい外せないのが「帯を締める上下の位置」です。男性と女性では骨格構造と重心が大きく異なるため、同じ位置で帯を締めるとどちらかが不格好に見えてしまいます。
男性の黄金位置は「前下がり・後ろ上がり」と呼ばれるラインです。おへそよりも指3本分ほど下の腰骨の突起に帯の上端を引っ掛けるイメージで締めます。下腹部の丹田をしっかり締めることで帯が安定し、背中側は自然と高めの位置に上がります。この重心の低さが、男らしいどっしりとした佇まいと力強さを演出します。
対照的に、女性が男性と同じ極端な腰履きをすると、胴が長く見えてしまい、胸元のはだけやすさにも繋がります。女性の場合は「骨盤の上端からウエストのやや下」で結ぶのが理想的です。帯を巻く前に「さらし」や「和装用ブラジャー」で胸元をフラットに整えておくことで、法被の衿元が崩れず、美しく引き締まったシルエットが維持できます。
また、帯の結び目を中心から「左右どちらかに拳ひとつ分ほどずらす」のが、江戸文化から続く粋な巻き方の鉄則です。正面に結び目を持ってくると野暮ったい印象になりがちですが、左右に少し外すだけで視線が分散し、こなれた職人風の着こなしへと昇華します。