いまテレビ各局のプロデューサーや舞台関係者が口を揃えるのは、若手女性お笑いコンビのブレイク経緯における質の変化です。かつてのように「体当たりロケのリアクション枠」として消費されるのではなく、確固たるネタの面白さと卓越したトークスキルを武器に、メインストリームへ駆け上がるルートが完全に確立されました。
その筆頭が、大阪から上京を果たし瞬く間にバラエティの主役に躍り出た紅しょうがです。紅しょうが現在の出演番組と評判を精査すると、キー局のプライム帯バラエティだけでなく、情報番組のコメンテーターや単独冠ラジオ、さらには恋愛リアリティ番組のMCまで網羅しています。熊元プロレスの大胆かつ愛嬌あふれるキャラクターと、稲田美紀の冷静沈着で切れ味鋭いツッコミ。単なるボケ・ツッコミの枠組みを超えた「現代を生きる等身大の女性のホンネ」を代弁する語り口が、同世代の女性層を中心に爆発的な支持を集めています。
一方、SNSとテレビのハイブリッドで圧倒的な存在感を示すのがエルフです。特にエルフ荒川ギャルネタのネットの反応を追うと、当初の「一発芸的なギャルキャラ」という受け止め方は完全に過去のものとなっています。YouTubeやTikTokで見せる実直な人間性、そして相方はるの確固たる受容力とネタの土台作りが再評価され、ネット上では「荒川のポジティブな言葉に救われる」「はるの引き算のツッコミがあってこそ成立する漫才」と、クリエイティブ全般に対するリスペクトへと昇華しました。
さらに、ネタの職人として劇場界隈を唸らせているのが天才ピアニストです。天才ピアニスト受賞歴と経歴を振り返れば、2022年の『女芸人No.1決定戦 THE W』優勝のみならず、『NHK上方漫才コンテスト』優勝、『上方漫才大賞』新人賞など、関西の伝統ある格式高い賞レースを総なめにしてきました。元看護師のますみによる憑依型のキャラクターコントと、竹内知咲の知性あふれる構成力。彼女たちの快進撃は、女性二人組の評価基準を「面白さの絶対値」へと引き戻した決定打といえます。