医療情報を巡るネット空間では、しばしば極端なバイアスや事実誤認が拡散します。北海道がんセンターに関しても、受診者が陥りやすい2つの典型的な誤解が存在します。
第1の誤解は、「がんセンターに行けば、どんな末期がんでも魔法のように治してくれる」という名医幻想・特効薬幻想です。同センターが遵守するのは、世界的なエビデンス(科学的根拠)に基づいた標準治療です。標準治療とは「並の治療」ではなく「現時点で最も効果と安全性が立証された最善の治療」を指します。ネット上で民間療法や未承認の過激な代替医療を期待して訪れると、「ここでは標準治療以外の奇をてらった方法は行いません」と説明され、冷たくあしらわれたと誤認してしまうケースがあります。
第2の誤解は、「緩和ケア病棟に入ったら、もう積極的な治療は一切受けられず見放される」という認識です。現代の腫瘍学において、緩和ケアは終末期だけに施されるものではありません。化学療法や放射線治療と並行して、疼痛管理や不安障害のケアを行うことが生存期間やQOL(生活の質)の向上につながることが医学的に証明されています。病棟の役割に対する古い先入観が、適切な緩和医療の導入を遅らせる要因となっています。