ネット上でハーバード受験が語られる際、「年間1,000万円以上かかるから超富裕層しか行けない」「庶民には関係のない世界」という言説が頻繁に見受けられます。しかし、これは実情を正しく反映していない典型的な誤解です。
確かに、正規のハーバード大学の年間学費および寮費・食費・教材費を含めた総費用は、近年のインフレと為替の影響により年間約85,000〜90,000ドル、日本円にして約1,300万〜1,400万円以上に達します。4年間で換算すれば5,000万円を超える計算となり、通常の家庭にとっては途方もない金額です。
しかし、ここで極めて重要なのがハーバード大学の奨学金制度(Financial Aid)の存在です。ハーバードは全米でもごく一部の大学しか採用していない「ニード・ブラインド(Need-Blind)」方針を、外国人留学生に対しても完全に適用しています。これは、出願者の家庭の経済状況を選考に一切影響させず、純粋な人物評価だけで合否を決定する制度です。
さらに、合格した生徒に対しては、家庭の支払い能力に応じて大学が学費を減免・補填します。公式規定によると、世帯年収が8万5,000ドル(約1,300万円)以下の家庭出身者であれば、授業料、寮費、食費を含む全額が大学からの返済不要な給付型奨学金でカバーされ、自己負担ゼロで通学できます。年収8万5,000ドル〜15万ドルの世帯であっても、家庭の負担額は年収の0〜10%程度に制限されます。つまり、経済的な理由だけで進学を断念する必要はなく、日本の下宿生が私立大学に通うよりも実質負担が軽くなるケースすら珍しくありません。