ネット上の情報には「とにかく目立つために長文を詰め込むべき」「審査のない業者に直接頼めばどんなワードでも通る」といった無責任な言説が散見される。しかし、ここには制作上および教育上の大きな落とし穴が存在する。
第1の盲点は、「フォントの可読性と印刷の限界」だ。Tシャツの背面プリント可能エリアは、通常横28cm〜30cm程度に限られている。ここに12文字以上の文字列を詰め込むと、文字の横幅が極端に圧縮される長体(コンデンス)処理が施される。結果として、遠目には黒い帯のようにしか見えず、現場で何が書いてあるのか誰も判読できないという本末転倒な事態に陥る。特に漢字の画数が多い「鬱病」「魑魅魍魎」といった文字はインクが潰れやすく、事前のデザイン確認が不可欠だ。
第2の盲点は、教員による「事前検閲(校閲チェック)」の厳格化である。多くの学校現場では、業者への最終発注前に学年主任や生徒指導部による名簿チェックが行われる。ここで「暴力・差別を想起させる言葉」「過度な性的ニュアンスを含む俗語」「特定個人への誹謗中傷」と判断された場合、即座に差し戻しとなる。
「当日だけガムテープを剥がして隠していた文字を見せる」といった悪質な手口は、現代では通用しない。発覚した時点でTシャツの没収や裏返し着用を命じられ、体育祭の全競技に出場停止となった事例も報告されている。真にスマートなネタとは、「学校の指導基準を100%クリアしつつ、同年代の仲間だけがニヤリとできる絶妙なユーモア」を突くことにある。