日本が自力でパリ五輪出場権を獲得できた最大の理由は、感情論だけでなく、徹底的に計算された「アナリティクス(データ分析)の勝利」にありました。
FIBA公式データによると、日本代表の3ポイントシュート試投割合は全チーム中最上位クラスに位置していました。2点シュートの成功率で欧米の210cm級ビッグマンに対抗することは構造上不可能です。ホーバスHCは「確率の高いワイドオープン(ノーマーク)の3Pを1試合に30本以上放ち、ハイペースでポゼッション(攻撃回数)を増やす」という明確なゲームプランを敷きました。
また、ディフェンス面におけるプレッシャーの質も劇的に進化しました。富樫選手や河村選手ら小型ガード陣が前線からフルコートで激しくプレッシャーをかけ、相手司令塔の体力を削り、ターンオーバーを誘発。奪ったボールを瞬時にトランジション(速攻)へと繋げるスタイルは、東京五輪で女子日本代表を銀メダルへ導いたホーバス哲学の男子版アジャストメントでした。
就任当初、Bリーグ関係者やファンの間では「女子のバスケを男子にそのまま当てはめるのは無理がある」「3P頼みのギャンブルバスケではないか」という懐疑的な評価も根強く存在しました。しかし、指揮官は選手個々に対して「求める役割(Role)」をミリ単位で明確化し、ミスを恐れずに打ち続けるメンタルタフネスを植え付けました。批判を実績で完全に跳ね返したホーバスHCの手腕は、今や世界的な評価を獲得しています。