幸福の木が開花期に入ると、視覚よりも先に嗅覚でその異変に気づく家庭がほとんどです。夕方18時を過ぎたあたりから蕾が開き始めると、わずか数十分でリビング全体、場合によっては家中の廊下まで独特の芳香が充満します。
その香りは、ジャスミン、クチナシ、ユリ、バニラを凝縮したような甘く濃厚な芳香です。最初の数時間は「部屋が良い香りに包まれて優雅な気分になる」と好意的に受け止める人もいますが、密閉された室内の場合、深夜になるにつれて香りの濃度が急上昇します。嗅覚の敏感な家族や来客からは「香りが強すぎて頭痛がする」「甘ったるい匂いに酔ってしまい夜眠れない」といった悲鳴が上がることも珍しくありません。
さらに現場で深刻な実害となるのが、花茎や小花から大量に分泌される「透明な蜜」です。自生地で夜行性の昆虫やヤモリなどの花粉媒介者を誘い寄せるための高濃度な糖液ですが、室内ではこの蜜がポタポタと絶え間なく床に垂れ落ちます。
フローリングや絨毯に蜜が落ちると、乾いた後にガムのように固まり、強烈なベタつきを残します。放置するとホコリを吸着して黒ずみの原因になるほか、最悪の場合、室内にアリの大群を呼び寄せる引き金にもなりかねません。
開花を確認した段階で、愛好家やインテリアグリーン管理のプロは以下の応急措置を実施します。
- 鉢の下と周囲の床養生:開花期間中は、鉢の周囲半径1メートルほどの床に新聞紙やビニールシートを敷き詰める。
- こまめな拭き取り:花茎に溜まった蜜の滴を、湿らせたキッチンペーパーで優しく拭き取る。
- 夜間の換気確保:香りがこもりすぎないよう、サーキュレーターを回して24時間換気口の近くへ風の流れを作る。