日本神話における神々の血統は、世界の始まりである天地開闢(てんちかいびゃく)から脈々と紡がれています。天照大御神の家系図をわかりやすく把握する上で、最も基本となる骨格は「祖父母・父母世代」「同胞・兄弟世代」「誓約で生まれた御子世代」「天孫降臨世代」「地上統治・天皇世代」という5つの階層です。
原初の神々である別天神(ことあまつかみ)や神世七代(かみのよななよ)を経て、国土と自然の神々を生み出したのが伊邪那岐命(イザナギ)と伊邪那美命(イザナミ)です。黄泉の国の穢れを祓う禊の場で誕生した天照大御神は、高天原(たかあまのはら)を統べる最高神としての使命を託されました。ここから皇室へと繋がる直系の血統ラインは、脇道に逸れることなく一本の強固な軸線を描いています。
直系継承のプロセスを整理すると、以下の流れが確定的な系図の背骨となります。
【皇統を紡ぐ直系系譜の流れ】
伊邪那岐命(父神・単独生殖)
↓
天照大御神(皇祖神・高天原の統治者)
↓(スサノオとの誓約により物実から誕生)
天忍穂耳命(アメノオシホミミ・長男)
↓(高木神の娘・万幡豊秋津師比売命と婚姻)
邇邇芸命(ニニギノミコト・天孫降臨の主役)
↓(大山津見神の娘・木花之佐久夜毘売と婚姻)
火遠理命(ホオリノミコト/山幸彦・日向三代の2代目)
↓(海神の娘・豊玉毘売と婚姻)
鵜草葺不合命(ウガヤフキアエズ・日向三代の3代目)
↓(母の妹・玉依毘売と婚姻)
神武天皇(初代天皇・神日本磐余彦尊)
『古事記』『日本書紀』の系図を一瞥して驚かされるのは、天孫降臨以降の日向三代が、地上の山の神(オオヤマツミ)や海の神(ワタツミ)の娘たちを次々と正妃に迎えている点です。天つ神の絶対的な神威に、地上の強大な自然神の霊力を巧みに掛け合わせることで、地上を統べるにふさわしい王権の正統性を構築していった軌跡が明確に刻まれています。