黒い羽アリを目撃した住人が抱く大きな不安の一つに、「刺されたり、毒があったりするのか?」という身体的リスクがあります。黒い羽アリ毒性と被害について検証すると、ヤマトシロアリ自体にはハチのような毒針はなく、人を積極的に噛んで毒液を注入するような危険性はありません。クロアリの一部には微弱な蟻酸(ぎさん)を持つ個体もいますが、重篤な健康被害を及ぼす毒性は極めて稀です。
しかし、真の脅威は人体ではなく「住宅の耐震強度の喪失」にあります。阪神・淡路大震災や熊本地震における家屋倒壊調査では、全壊判定を受けた木造住宅の8割以上にシロアリ被害や腐朽による木材強度の著しい低下が見られたという研究データが報告されています。ヤマトシロアリは湿潤な木材を好むため、耐震壁の重要な留め付け部分や土台を食害し、震度6強クラスの揺れに耐えうるはずの耐力を根底から奪い去るのです。
被害が進行する前のシロアリ駆除費用相場と、放置して躯体補修が必要になった場合のコスト格差は歴然としています。
羽アリを一度目撃した段階で手を打てば十数万円の駆除費用で収まるものが、「面倒だから」「見失ったから」と1〜2年放置した結果、大工工事を伴う百万円単位の大改修へと膨れ上がる事例が毎年後を絶ちません。