飲ませ釣りにおいて、餌となるアジの生命感はバイト数に直結します。どんなに優れたロッドやリールを揃えても、アジが5分で横たわってしまえば本命が口を使うことはありません。そこで重要となるのが活きアジ針の付け方の使い分けです。
最もスタンダードとされるのが「鼻掛け」です。アジの両鼻腔(鼻の穴)の間に針先を通す手法で、骨や重要な神経組織を傷つけないため、水中で最も長生きし、前進する際の姿勢が極めてナチュラルに保たれます。潮流の速いエリアやエレベーター仕掛け、あるいは長距離を流すウキ仕掛けでは、鼻掛けが基本中の基本となります。針を通す際は、アジを乾いたタオルで直接強く握らず、海水で十分に冷やした手や専用のアジ掴み具を用いて数秒以内に作業を終える手際が求められます。
一方、活性が低くアジを激しく暴れさせたい場合や、足元周辺を垂直に探る胴突き仕掛けでは「背掛け」が威力を発揮します。背ビレの前端の直下に針先を薄く通す方法ですが、深く刺しすぎて背骨(脊髄)を圧迫するとアジは即座に麻痺して動かなくなります。皮膚の直下をわずかにすくうように通すミリ単位の精度が不可欠です。
また、アングラーを悩ませるのが飲ませ釣りハリス号数の選び方です。現場で耳にする「喰わせるために細ハリスにする」という発想には落とし穴が存在します。太すぎるハリスはアジの泳ぎを阻害しますが、細すぎるハリスは歯の鋭いサワラやヒラメ、あるいは急激な青物の突っ込みで瞬時に破断します。検証データに基づく基準は以下の通りです。
- 堤防中型青物(ハマチ・イナダ・シオ・サゴシ):フロロカーボン5号〜6号が基本。食い込みを損なわずに強引な取り込みが可能。
- 大型青物狙い(ブリ・メジロ・ヒラマサ):フロロカーボン8号〜10号。テトラ帯や基礎石周りでの擦れを考慮すると8号未満はリスクが高い。
- 座布団ヒラメ・マゴチ狙い:フロロカーボン5号〜6号。底付近の沈み根へのコンタクトに耐えつつ、しなやかさを維持する限界値。