ネット上の情報では「全面通行止めで近づけない」という古い記述と、「普通に見学できた」という最新の登山記録が混在し、混乱を招いています。結論から言えば、棚下不動の滝の現在は、滝を真正面から仰ぎ見る観瀑スペースおよび棚下不動尊拝殿周辺までは安全に通行・見学が可能です。
かつてのように「滝の裏へ潜り込む体験」は完全に遮断されています。立ち入り規制の契機となったのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。激震により、滝の上部を取り囲んでいた巨大な岩盤が音を立てて崩落。滝壺周辺の参道や石段は粉砕され、棚下不動尊の奥の院へ続く回廊も壊滅的な打撃を受けました。
渋川市は二次災害を防ぐため、直後から参道全域を完全通行止めに指定。専門家による岩盤強度の調査、崩落土砂の撤去、防護柵の設置といった長期の安全工事を実施しました。その結果、手前の安全な観望エリアまでの散策路は再整備され、参拝・観光の受け入れが再開されました。しかし、滝直背後のオーバーハング(せり出した岩壁)部分には現在も無数の亀裂が残存しており、落石事故防止の観点から裏見ルートへの立ち入りは厳重に禁止されています。現地には警告看板と堅牢な進入防止柵が設置されており、無理な進入は命に関わる無謀な行為です。