種無しぶどう栽培において、最大の関門となるのがジベレリン処理の時期と回数の見極めです。処理タイミングがたった3日ズレるだけで、種が残ったり(有核化)、果粒が落ちたり(花振るい)、あるいは粒が大きく育たず小豆大で止まる「ショットベリー」と呼ばれる障害が発生します。
現在主流となっている代表的3品種における、標準的な処理濃度・時期・補助薬剤の併用規定を以下の比較表に整理しました。
とりわけ家庭菜園でも人気の高いシャインマスカットの種無し化手順では、「満開日」の定義を正確に捉える必要があります。房全体の70〜80%の小花が開花した時点を「満開」と定義し、そこから3日以内に第1回処理を行うのが鉄則です。この段階で合成サイトカイニン剤であるフルメット液剤の併用効果を活用すると、果粒の細胞分裂が爆発的に活性化し、市販品に見劣りしない1粒15g超の大粒果を狙うことが可能になります。
一方、古くから日本の食卓を支えてきたデラウェアのジベレリン処理方法は、大粒品種と決定的に異なります。デラウェアは「開花前」に第1回処理を行わなければ種が抜けません。展葉数が10〜11枚になり、花穂が十分に伸びきった満開予定の10〜14日前(花穂の先端の粒がまだ固く緑色をしている段階)を見極めて100ppmの高濃度液に浸漬させる高度な観察眼が求められます。