一方、ネット掲示板や知恵袋などのQ&Aサイトでは、「周りと比べて明らかに親指が短い」「爪が横に広く丸い形をしている」といった容姿の悩みが数多く投稿されています。中には「自分の手の親指が短い理由を知りたい」と不安を募らせる人も少なくありません。
解剖学的な見地から解説すると、親指の先端の骨(末節骨)が短く、幅広の爪を持つ形状は医学的に「短指症(特にD型短指症・Brachydactyly Type D)」と呼ばれる身体的特徴に該当します。海外セレブや著名なハリウッド女優が公の場でこの指を隠さずに披露したことで認知が広まりましたが、日本国内でも一定の割合で見られる骨格のバリエーションです。
この現象の主たる要因は、短指症と骨格の遺伝理由にあります。医学研究によると、HOXD13遺伝子などの形態形成に関わる遺伝子の変異が関与しており、常染色体顕性(優性)遺伝の形式をとることが知られています。親のどちらかが特徴的な短い親指を持っている場合、約50%の確率で子どもにも受け継がれます。
臨床現場の整形外科医は、「短指症のほとんどは病的な異常ではなく、単なる骨格の個性。日常生活において握力や手指の巧緻性に支障が出ることは極めて稀であり、治療や手術を必要とするケースはほとんどない」と断言します。長年コンプレックスを抱えていたある20代女性の手記には、「かつては人前で手を出すのが恥ずかしかったが、サロンでショートネイルを活かしたデザインを楽しむようになってから、自分の手が好きになった」と記されており、個性の受容が進んでいる現場のリアルがうかがえます。