全中陸上への出場権を獲得するためには、単に公認大会で標準記録を出せば良いわけではない。日本中体連が定めた「全中陸上 突破指定大会」と呼ばれる極めて限定された舞台で記録を樹立する必要がある。一般の市民陸上大会や大学主催の公認記録会で標準記録を上回るスーパータイムを叩き出しても、全中の切符には一切結びつかない。
2大関門となる「通信陸上」と「中学総体」
指定大会の根幹をなすのが、各都道府県で開催される「全日本中学校通信陸上競技大会(通信陸上)」と、学校体育の集大成である「中学校総合体育大会(中学総体)」の2大会だ。 基本原則として、選手はこの2つの都道府県大会(または中体連が特別に指定した春季競技会)の決勝または予選において、一度でも標準記録を突破すれば全中出場権を獲得できる。 通信陸上で標準記録を突破できなかった選手が、7月の県総体でラストチャンスに賭けるというドラマが各地で繰り広げられるのはこのためだ。通信陸上と総体の両大会で標準記録突破者が複数出た場合、条件を満たした選手全員が全国大会へと駒を進めることができる。定員による足切りが存在しない点こそが、全中陸上のフェアであり過酷な一面である。
「全中陸上 リレー標準記録」の真実と選考基準
個人種目と決定的に異なるのが「4×100mリレー」の選考システムだ。リレーにはタイムによる「参加標準記録」が存在しない。原則として「各都道府県から男女各1チーム」のみが出場権を得る狭き門となっている。 この代表選考ルールは都道府県中体連ごとに細かく規定されているが、多くの場合、通信陸上と県総体の成績が直接反映される。 たとえば、第53回大会の開催県である愛媛県の選考要項では、「全日本中学校通信陸上愛媛県大会と愛媛県中学校総合体育大会の2大会ともに優勝したチームを県代表とする」と明確に定められている。もし両大会で優勝校が分かれた場合は、両大会の優勝記録の比較や、総体決勝での直接対決結果によって代表が決定される仕組みだ。 個々のスプリンターがどれほど優秀であっても、バトンパスのミスひとつで夢が消え去るリレー競技は、都道府県ナンバーワンの称号を掴み取った単一校または指定地域クラブのみが全国の舞台に立つことを許される。