ネットカルチャーにおいて、特定の漫画がここまで長期にわたりコラ画像の題材として定着した例は極めて稀です。その人気の根底には、「絶妙な違和感」と「圧倒的なコラ素材としての汎用性」が存在します。
もともと本作は、35歳の平凡なサラリーマンである野原ひろしが、限られた小遣いの中でいかに美味い昼メシを食べるかという日常を描いたグルメ漫画です。しかし、作中におけるひろしの表情は、本家『クレヨンしんちゃん』のコミカルなテイストとは一線を画す、無駄にシリアスで劇画調なタッチで描かれています。
「この重厚な顔で何を考えているのかと思えば、単にカツ丼を食べているだけ」というギャップが、初期の読者に強烈なシュールさを植え付けました。この強烈な構図に目をつけたネットユーザーたちがセリフを差し替えたところ、どんなシチュエーションにも驚くほど自然にマッチすることが判明し、瞬く間にミームとして定着していったのです。