鶴岡八幡宮を参拝する際、大石段を登りきった本宮(上宮)の楼門で見上げたいのが、掲げられている「八幡宮」の扁額(へんがく)です。一見すると力強い書体の額に見えますが、よく観察すると「八」の文字が独特の形状をしていることに気付きます。
この「八」の字は、2羽の鳩が向かい合って寄り添う姿を模して描かれた「絵文字(隠し文字)」です。右側の払いが鳩の頭部と胸の丸み、左側の払いがもう1羽の鳩のシルエットを形成しており、神仏習合の時代から受け継がれる高度な遊び心と信仰心が融合した意匠美を誇ります。
現存する扁額の文字は、江戸時代中期の儒学者・書家である佐々木玄龍(ささきげんりゅう)の筆によるものと伝えられています。八幡神の使者である鳩を文字そのものに宿らせることで、神社全体の守護と繁栄を祈願したものであり、鶴岡八幡宮を代表する必見の鑑賞ポイントとなっています。