パワーカーブは強力な武器である反面、投げ方を誤ると選手生命に関わる深刻な障害を引き起こすリスクを孕んでいます。投球動作指導の現場でも、パワーカーブによる肘への負担と注意点については強い警鐘が鳴らされています。
ネット上の簡易的な解説動画などを鵜呑みにし、「手首を強引に内側へ捻って回旋させる」「肘を下げて横から無理にチョップする」といった投げ方を続けると、肘の内側側副靭帯(UCL)や前腕屈筋群に過度な剪断力(ねじれの負荷)が集中します。これが原因で、トミー・ジョン手術を要する靭帯損傷や、成長期の野球肘を招くケースが後を絶ちません。
生体力学(バイオメカニクス)的に正しいパワーカーブは、「前腕の過度な回旋運動ではなく、肩甲骨から指先への運動連鎖の終末でボールを切る」ことによって成立します。肘が下がる投手や、リリース時に手首がぐらつく投手は、まずストレートのフォームが安定するまでパワーカーブの本格導入を見送るべきです。