コスメのフルリニューアル時によく見られる現象が、「旧作神話」の形成です。ネット掲示板や知恵袋などでは、「シークレットスキンメイカーゼロの方がカバー力が高かった」「新作は別物になってしまった」といった論調が散見されます。
この現象の背景には、心理学で言われる「現状維持バイアス」と「喪失回避の心理」が存在します。人間は慣れ親しんだ使用感やメイクの手順を手放す際、変化によって得られるメリット(密着力や崩れにくさの向上)よりも、失われる要素(重厚なハイカバー感)を過大に評価してしまう傾向があります。
客観的な製品設計を比較すると、旧作が「顔料を乗せる」アプローチだったのに対し、現行技術は「光の乱反射と薄膜密着でアラを飛ばす」アプローチへと進化しています。つまり、見た目のカバー力は同等でありながら、塗膜の厚みだけが削ぎ落とされているのです。「旧作の重み=カバー力」と認識していたユーザーにとっては物足りなさを感じる場合がありますが、光学的な肌補正効果は確実に現代の処方の方が優れています。