古くから使われている「知恵熱」ですが、現代の小児医療において知恵熱という病名や直接の医学的根拠は存在しません。昔は、赤ちゃんが周囲の物事を認識し始め、いわゆる「知恵がつく」時期(生後半年〜1歳頃)に原因不明の熱を出すことが多かったため、このように呼ばれるようになりました。
赤ちゃんが生後何ヶ月で熱を出しやすくなるのかというと、一般的に生後6ヶ月前後から急増します。これは、母親のお腹の中にいたときにもらった「移行抗体(免疫)」が生後半年ほどで失われ、自身で病原体と戦う免疫システムがまだ未発達であるためです。外出機会が増えて新しい刺激やウイルスに触れる機会が多くなる時期と重なり、突発的な発熱を起こしやすくなります。
また、乳幼児期に初めてかかる代表的な高熱疾患である突発性発疹と知恵熱は、昔は同一視されることが多々ありました。突発性発疹はヒトヘルペスウイルス6型(または7型)の初感染によるもので、3日ほど高熱が続いた後に解熱とともに全身へ発疹が出る病気です。昔の人は発疹が出る前の原因不明な発熱状態を「知恵熱」と呼んでいた背景もあります。