元宋の重厚な絵画世界と鮮烈なコントラストを成し、同時に静かな温もりを添えているのが、奥田小由女が手掛ける人形彫刻だ。従来の「人形」という概念を遥かに超えた彼女の作品は、人間の内面的な感情や祈り、女性性の優美さを立体として昇華させている。
柔らかく曲線を描くフォルムと、神秘的な色彩を纏った衣装。そこに表現されているのは、単なる造形物ではなく、魂が宿ったかのような静かな存在感だ。平面の「元宋赤」と、立体空間を彩る小由女の造形。二つの異なる美の言語が同じ館内で重なり合うことで、鑑賞者は未知の感覚的体験へと導かれていく。