かつて女子レスリング世界選手権で4度の金メダルに輝き、日本レスリング協会をはじめ世界の格闘技界にその名を刻んだ山本聖子。競技は違えど、世界最高峰のトップで戦う苦悩と孤独を誰よりも知る人物だ。だからこそ、メジャーリーグベースボールという世界一過酷なリーグで腕を振り続ける夫の苦痛やプレッシャーを、自らの体験として理解することができる。
一方のダルビッシュも、妻のキャリアとアスリートとしての識見に絶大なリスペクトを払っている。マウンドでの繊細な感覚の変化や肉体の不調を感じ取ったとき、真っ先に意見を求めるのは聖子だという。格闘技で培われた身体操作のノウハウと、野球におけるピッチングメカニクスの融合。二人の対話は、プロスポーツ業界にとっても極めて貴重な知の共有の場となっている。