「石油からできているプラスチックなのに、なぜ燃えるゴミに出せるのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。かつての昭和から平成初期にかけて、発泡スチロールやプラスチック製品は「燃やすとダイオキシンが発生する」「炉が高熱になりすぎて焼却炉を傷める」という理由から、厳格に不燃ごみ(埋め立てごみ)へ分類されていました。
しかし、現在その常識は大きく覆っています。発泡スチロールの主原料であるポリスチレンは、炭素と水素のみで構成されており、実は完全燃焼させても水と二酸化炭素しか発生しません。有害な塩素を含まないため、単体で燃やす限りダイオキシンは発生しない構造です。さらに、原料の98%が空気、樹脂成分はわずか2%という超軽量素材であることも特徴です。
発泡スチロールを「可燃ごみ」として受け入れる自治体が増えた背景には、焼却炉の技術革新があります。850℃以上の超高温で安定稼働できる最新鋭の清掃工場では、炉を傷めることなくプラスチックを安全に焼却可能です。むしろ水分を多く含む生ゴミと一緒に燃やすことで、発泡スチロールが「助燃剤」の役割を果たし、余計な重油を使わずにゴミ発電の効率を引き上げるエネルギー源(サーマルリサイクル)として重宝されています。
一方で、地方都市や老朽化した焼却施設を使い続けている自治体では、現在も「熱量が高すぎて炉壁を損傷するリスク」を避けるため、不燃ごみ指定を維持しています。可燃か不燃かの境界線は、素材の性質ではなく「自治体が持っているインフラ設備の世代格差」によって生まれているのが実態です。