首への刺激によって引き起こされる代表的な血管障害が「椎骨動脈解離」だ。これは、3層構造になっている動脈の内膜に切れ目が入り、中膜との間に血流が入り込んで血管が膨らんだり塞がったりする病態を指す。
恐ろしいのは、初期症状が単なる「首こり」や「いつもの片頭痛」と見分けがつきにくい点だ。解離が生じた瞬間、首の後ろや後頭部に激痛が走ることがあるが、「マッサージの揉み返しだろう」と勘違いして放置してしまうケースが極めて多い。数時間から数日かけて徐々に血栓が大きくなり、ある瞬間突然、手足の痺れ、めまい、滑舌の低下といった重篤な神経症状として噴出する。
若く健康な人であっても例外ではない。スポーツや日常のふとした動作で起きることもあるが、首への物理的なアタックが最大の誘因となる。血管解離が引き起こす脳血流の遮断は、数分単位で脳細胞を死滅させていく。