物語は、愛されることを知らずに育った美世が、厄介払い同然に清霞のもとへ嫁がされるところから始まります。当初はいつ追い出されるかとおびえていた美世でしたが、清霞の厳しくも温かい気配りに触れ、次第に閉ざしていた心を開いていきます。一方の清霞もまた、これまでの婚約者候補たちとは異なり、贅沢を望まず慎ましやかに尽くす美世の真摯な姿に心惹かれていきます。
しかし、物語は美世が秘めていた特殊な生い立ちと「薄刃家」の血脈が覚醒することで、波乱の渦へと突入します。彼女の持つ強大な異能を狙う勢力の策謀により、美世は誘拐の危機に晒され、清霞は愛する者を守るために全霊をかけた戦いに身を投じることになります。
ここで注目すべきは、原作(小説・コミック)と実写映像作品における決定的な差異です。実写版では、限られた尺の中でエンターテインメント性を最大化するため、アクションシークエンスの迫力とカタルシスが前面に押し出されています。原作で丁寧に描かれた日常の細やかな心理描写の一部が凝縮される一方で、対立勢力との戦闘描写や視覚効果(VFX)を駆使した異能バトルは実写ならではの圧倒的スケールで再構築されました。結末においても、個人の救済だけでなく、国家的な宿命と対峙する二人の覚悟がよりドラマチックに強調される構成となっています。