「数千年の歴史を持つ寺社が残っているから大丈夫」という根拠も、自然地理学の地質構造調査によって見直されつつある。古建築が生き残ったのは、単に地盤が堅固だったからではない。
建築史と構造計算の最新研究では、五重塔に代表される心柱(しんばしら)構造や組物の制振効果が、地震の揺れを分散・吸収してきたことが判明している。建築自体の極めて高度な免震機能による成果なのだ。
立地条件についても、古い主要寺院の多くは盆地の中央部ではなく、山麓の比較的引き締まった微高地に建てられている。歴史的建造物の生存は、地盤の絶対的な安全を保証する根拠にはならない。