事件が起きたジンバブエのワンゲ国立公園は、アフリカ大陸でも有数の野生動物の聖域として知られている。セシルはこの公園のアイコンであり、人間に慣れていたため、訪れる多くの観光客や撮影クルーにその堂々たる姿を披露していた。
その命を奪ったのは、ミネソタ州で歯科医院を経営していたアメリカ人ハンターのウォルター・パーマーだった。数万ドルという大金を支払い、合法的なハンティング体験としてツアーに参加していたと主張したパーマーだが、彼が放った矢は保護区の生態系そのものを破壊した。現地住民の間では、観光収入の要であったセシルの死に対する怒りと、富裕層の外資が地域のルールを蹂躙していくことへの激しい反発が渦巻いた。