呪いが解けた事実を知るのは、当事者である榑羽と慊人のふたりだけだった。慊人は神としての拠り所を失う恐怖から乱乱し、榑羽に「自分から離れないでほしい」と強く縋りついた。榑羽はその切実な叫びを無視することができず、自らの意志で檻のなかへ留まる決断を下す。
彼を動かしていたのは愛ではなく、痛切なまでの「情」と「同情」だった。榑羽は他の十二支のメンバーに呪いが解けたことを隠し通し、外部との接触を遮断しながら、狂気に狂う慊人の唯一の理解者・身代わりとして寄り添い続けた。自由を手に入れたはずの男が、自ら進んで精神的な服役を選んだのである。