ピカタ(イタリア語:piccata)の語源は、イタリア語の「ピッカート(piccato:槍で突いた、薄く切った)」に由来するとされています。もともとは肉を薄く叩いて伸ばし、短時間で火を通す調理法全般を指す言葉でした。
本場イタリアにおけるピカタの伝統的なスタイルは、薄切りの仔牛肉に小麦粉をまぶし、多めのバターとオリーブオイルでソテーしたあと、白ワイン、レモン果汁、ケッパーで仕上げる「ピカタ・アル・リモーネ(Piccata al limone)」が主流です。驚くべきことに、本場のレシピには卵液も粉チーズの衣も一切使われません。爽快なレモンの酸味とバターのコクで肉の旨味をダイレクトに味わう、極めてシンプルな肉料理です。
一方、日本で知られるピカタは、明治から昭和にかけて西洋料理が普及する過程で独自の進化を遂げました。「薄切り肉を卵液にくぐらせて焼く」という調理法が日本の洋食店で考案され、卵のふんわりとした食感と粉チーズの香ばしさが日本人の味覚に合致。家庭でも手軽に作れる栄養満点のおかずとして定着していきました。