日本での輝かしい実績に自ら区切りをつけ、渡独を果たした元アナウンサーの現在地。彼女が拠点とするのは、世界中からエッジの効いたクリエイターが集うベルリンの一角だ。旧工場を改築したアトリエには、言葉ではなく色と光によって自己を証明しようとする強い熱量が満ちている。TBSテレビのアナウンサー時代、原稿を正確に読み上げていた頃の面影はそこにはない。マイクを筆に持ち替え、自分自身の奥底にある感情と真っ向から向き合う日々だ。
現地での取材に応じた彼女の表情には、確かな覚悟と強い眼差しが宿っていた。「言葉は誰かと繋がるための便利な道具だけれど、時に自分の本当の感情を覆い隠してしまうことがあった」と彼女は振り返る。異国の地でゼロから実績を積み上げる道は、当然ながら孤独と隣り合わせだ。だが、ドイツの現代アートシーンに没入し、言語の壁を表現の衝動に変えていくプロセスこそが、現在の彼女を突き動かす最大の原動力となっている。