横縞の代表格である「マリンボーダー(バスクシャツ)」には、機能性と伝統に裏打ちされた歴史が存在します。その起源は1858年にフランス海軍の公式制服として採用されたカットソーです。
当時の海軍令では「白地に21本の藍色(インディゴ)のライン」と厳格に規定されていました。この21本という数字は、ナポレオンが残した21の勝利に由来すると伝えられています。また、荒れ狂う海の上で兵士が海中に転落した際、遠くからでも波と人間を識別しやすい視認性の高さから横縞が選ばれました。
この機能美に注目したのが、20世紀を代表するデザイナーのココ・シャネル(Coco Chanel)です。彼女は1917年のリゾートコレクションで水兵の作業着をレディースウェアへと昇華させ、重苦しいコルセットから女性を解放するシンボルとしてマリンルックを世に広めました。実用的な軍服が、現代に通じる洗練された日常着へと進化した瞬間でした。