古美術の真髄は、生活や祈りと密着した美にある。実業家であり数寄者でもあった細見古香の美眼は、茶道具や宗教具の選定においても遺憾なく発揮された。侘び寂びの美学が色濃く反映された茶碗や水指、花入の数々は、単なる骨董の枠を超えた造形美を備えている。
静寂に包まれた展示室で対峙する古美術の器からは、かつて京の茶人たちが一期一会の茶席で繰り広げた洗練された会話や、季節を慈しむ心が鮮明に浮かび上がる。日本の伝統的な生活美学が凝縮されたこれらの茶道美術は、現代を生きる私たちの多忙な心に深い癒やしとインスピレーションを与えてくれる。