現役引退後、渡辺康幸氏は2004年に31歳の若さで早稲田大学競走部駅伝監督に就任しました。伝統校の重圧を背負いながら、科学的トレーニングと自主性を重んじる指導方針を導入し、低迷していた臙脂(えんじ)の襷を再び常勝へと導きます。
最大のハイライトは、監督就任7年目となった2010年度シーズンです。出雲駅伝、全日本大学駅伝、そして第87回箱根駅伝をすべて制覇し、史上3校目となる「学生駅伝三冠」の偉業を成し遂げました。この黄金期には、北京五輪代表の竹澤健介氏や、後にマラソン日本記録を樹立する大迫傑選手など、世界を舞台に戦うトップランナーを次々と育成・輩出しました。
2015年からは住友電工陸上競技部の監督に就任。当時創部間もなかった実業団チームの土台を作り上げ、遠藤日向選手や田村和希選手といった実力者をスカウト・育成し、全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)で上位入賞を争う強豪チームへと押し上げました。大学と実業団の双方で目覚ましい結果を残したその指導力は、日本陸上界でも屈指の実績を誇ります。