炭酸ガスレーザーで最も避けたい失敗が、皮膚の表面がボコッと凹んで戻らない「陥凹(かんおう)」や「クレーター化」です。この現象は、レーザーの蒸散が表皮を越えて真皮の深層組織まで到達しすぎた場合に引き起こされます。
人間の皮膚は表皮と真皮、皮下組織で構成されています。表皮の基底層までの浅い蒸散であれば、皮膚細胞のターンオーバーによって元の平坦な状態へ綺麗に再生します。ところが、深い病変を取り除こうとして真皮深層(コラーゲン線維が存在する層)を大きく損傷させると、組織の再構築が追いつかず、瘢痕組織として窪んだまま固定化してしまいます。
とくに鼻や頬、アゴ周りは皮脂腺が発達しているものの、一度深いクレーターができると自然治癒による完全修復は極めて困難です。病変の境界をミリ単位で見極め、削る深さを的確にコントロールする技術が医師に求められます。