ファイバースコープ検査で最も患者が恐れるのが、咽頭刺激による強い吐き気(嘔吐反射・えずき)です。しかし、胃カメラ(上部消化管内視鏡)と耳鼻科の内視鏡には明確な違いがあります。胃カメラが舌の根元(舌根部)を直接圧迫しながら食道へと進むのに対し、耳鼻科の内視鏡は鼻の奥(上咽頭・中咽頭)を空中を通るように下行し、喉頭や声帯を上空から観察します。つまり、原理的に舌根部へ触れにくいため、胃カメラよりもはるかに嘔吐反射が起きにくい構造になっています。
それでも喉の過敏さから反射が出やすい方に向けて、現場の医師や熟練スタッフが推奨する耳鼻科内視鏡で痛くない・苦しくない3つの実践テクニックを紹介します。
- 鼻から吸って口から細く長く吐く「深呼吸」を維持する:
恐怖心から息を止めたり身体を硬直させると、喉の筋肉が収縮してスコープを締め付けてしまいます。「吸う:吐く=1:2」のリズムでゆっくり呼吸を続けると副交感神経が優位になり、咽頭の緊張が解けます。 - 喉仏の力を抜き、ツバを無理に飲み込まない:
検査中にツバを飲み込もうとすると、喉仏が上がってスコープと喉の粘膜が直接接触し、強い刺激とえずきを誘発します。唾液が溜まったら飲み込まず、口の端からティッシュに出す意識を持つのが鉄則です。 - 目線を一点に固定し、遠くをぼんやり眺める:
目の前のモニターや医師の手元を凝視すると無意識に力が入ります。壁の時計やポスターなど、やや斜め前方の固定された目標をリラックスして見つめることで、感覚の過敏化を遮断できます。