近年、野鳥観察の現場で急速に普及しているのが、AIによる音声解析技術を搭載した鳥の鳴き声判別アプリです。代表格であるコーネル大学鳥類学研究室の『Merlin Bird ID』をはじめ、スマホのマイクを向けるだけでリアルタイムに鳥の名前を表示するシステムが整備されつつあります。
筆者が都内の大規模公園および住宅街において実施したフィールド検証では、以下のような実態が浮き彫りとなりました。
単一の鳥がクリアに鳴いている環境(例:早朝の住宅街で電線に止まるシジュウカラやヒヨドリ)における正答率は約90%以上と極めて優秀です。しかし、車道沿いの低周波ノイズ、エアコン室外機のモーター音、あるいはムクドリの大群とカラスが入り乱れるような環境下では、AIが音声を分離しきれず、誤った判定を下すケースが散見されました。
特に、「キジバトの鳴き声」を「フクロウ類」と誤認するエラーはAIアプリでも発生しやすく、機械だけに依存する危うさを示しています。アプリの判定結果を鵜呑みにせず、本稿のカタカナ早見表や「聞きなし」のリズムを手がかりに、人間の耳と照合する複眼的な確認作業が欠かせません。