生後4週間までの新生児期における排便回数の平均は1日あたり3〜8回程度とされていますが、実際には母乳か粉ミルクかによってその様相は大きく異なります。保護者から「昨日まで毎回出ていたのに、急に出なくなった」「回数が多すぎて下痢ではないか」という相談が小児科外来に数多く寄せられますが、その背景には乳汁成分と消化管ホルモンの相互作用が存在します。
母乳に含まれる豊富なオリゴ糖や乳糖は、腸内の善玉菌であるビフィズス菌を優位にし、水分を多く含んだ酸性の便を形成します。さらに、母乳栄養児では胃・結腸反射を促進する消化管ホルモン(モチリン等)の分泌が活発なため、飲むたびに腸が動き、1日に10回以上の少量排便を繰り返すケースが珍しくありません。一方、調製粉乳(粉ミルク)は母乳成分に近づけられているものの、タンパク質(カゼイン)や脂肪酸の結合構造の違いから便が腸内にとどまる時間が長くなり、1日1〜3回程度にまとまりやすい特性を持っています。