ネット上で囁かれる「ダチョウの脳みそは目玉より小さい」という言説は、比喩でも都市伝説でもなく、解剖学的に完全な事実です。成鳥のダチョウは体高が約2.5メートル、体重は100キロから150キロ近くに達する地球最大の鳥類ですが、その頭蓋骨に収まっている脳の重さはわずか約40グラム、サイズにしてクルミ1個分程度しかありません。
これに対して、ダチョウの眼球は1個あたり約60グラムあり、直径も約5センチメートルと陸上脊椎動物の中で最大級の大きさを誇ります。つまり、両目の眼球(計約120グラム)どころか、片方の目玉ひとつにすら脳の重さが及ばないという極めて特殊な頭部構造をしています。
動物の知能を測る指標のひとつに「脳化指数(EQ: Encephalization Quotient)」がありますが、カラスやオウムなど高度な学習能力を持つ鳥類が高い数値を示すのに対し、ダチョウの脳化指数は鳥類の中でも際立って低い水準にとどまります。体重に対する脳重量の比率はわずか約0.03〜0.04%に過ぎず、人間に換算すると体重60キロの成人に対して脳が20グラム程度しかない計算になります。