なぜ今再注目?由紀さおり『ルーム・ライト』誕生秘話と名曲の真相を徹底解説

なぜ今再注目?由紀さおり『ルーム・ライト』誕生秘話と名曲の真相を徹底解説

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日本のポピュラー音楽史において、1970年代前半はフォークシンガーが歌謡界のメインストリームへ楽曲提供を本格化させ、劇的なパラダイムシフトを起こした過渡期にあたります。その決定打として知られる森進一の『襟裳岬』(1974年)に先駆けること約1年、1973年3月1日に発売されたのが由紀さおりの『ルーム・ライト(室内灯)』でした。

本作の誕生において特筆すべきは、由紀さおりの『ルーム・ライト』作曲を吉田拓郎が担当し、作詞を岡本おさみが務めた点です。当時の吉田拓郎は『結婚しようよ』『旅の宿』で時代の寵児となり、自作自演のシンガーソングライターとして頂点を極めていました。一方で、東芝音楽工業(当時)の看板歌手であり、端正な発声とスモーキーな哀愁を併せ持つ由紀さおりへの楽曲提供は、歌謡曲とフォークという二つの異なるジャンルを高度に融合させる実験的な試みでもありました。

当時の制作関係者の証言や当時のインタビュー資料を振り返ると、拓郎ならではのブルージーで哀愁を帯びたフォークメロディに、木田高介による抑制の効いたアコースティック主体の編曲が見事に合致。由紀さおりの持つ澄んだファルセットと凛とした低音の響きを引き出すことに成功しています。単なる流行歌にとどまらない、大人の鑑賞に耐えうるフォーク歌謡の金字塔はこうして産声を上げました。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。