大阪万博のテーマ館プロデューサーに就任した岡本太郎は、丹下健三ら当時のトップ建築家たちが設計した近代合理主義の象徴である大屋根に対し、それを突き破る形で太陽の塔を設計しました。公式記録や当時の自著において、太郎は「整然とした近代技術への迎合」を徹底的に拒み、原初の人間のエネルギー、無名の人々の熱気、いのちの根源をぶつけようとしたと語られています。
万博の公式テーマであった「人類の進歩と調和」という標語に対し、太郎は「進歩とはただの拡大であり、人間本来の豊かさとは無関係だ」と異を唱えました。太陽の塔の意味や謎を探る上で最も本質的なのは、合理化や効率を至上命題とする社会への警鐘です。何者にも回収されない異形のシルエットと生命の蠢きが、先行き不透明な現代を生きる鑑賞者の無意識に強く共鳴しています。