GACKTと滋賀県の関わりを語る上で、近年の最大の起爆剤となったのが、映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』です。同作では「日本埼玉化計画・関西編」として、滋賀県民の誇りと悲哀、そして名フレーズ「琵琶湖の水止めたろか」を軸にした壮大な地域ディスバトルが描かれました。
主演の麻実麗を演じたGACKTですが、この脚本を受けた背景には、滋賀という土地に対する深い愛着と土地勘があったことは明白です。滋賀県の地理的特性、京都や大阪に対する歴史的な立ち位置、地元住民が抱く絶妙な劣等感と郷土愛のバランスを肌感覚で理解しているからこそ、あの過剰かつ真摯な怪演が成立しました。
さらに見逃せないのが、滋賀県が生んだスーパースター・西川貴教との盟友関係です。西川は滋賀県野洲市出身であり、滋賀ふるさと観光大使として「イナズマロック フェス」を主宰するなど、滋賀の顔として圧倒的な影響力を誇ります。GACKTと西川は1990年代後半の音楽番組共演以来、30年近くにわたり親交を深めてきた旧知の仲です。
公の場では互いをリスペクトしつつも容赦ないイジりを展開する2人の信頼関係は、同じ「関西・滋賀の空気を吸って育ったロックミュージシャン」という共通言語があるからこそ成立しています。『翔んで埼玉』のプロモーションや各メディア出演で見せた息の合った掛け合いは、滋賀という地域が持つ独自のエンタメ力を全国区に押し上げる原動力となりました。